20代が医療保険に加入する必要性
20代には基本的に医療保険は必要ない
以下は厚生労働省の年齢階級別の医療機関の受療率なのですが、人工10万人あたりの受療率ですので、縦のグラフが1,000だと確率が1%ということになります。
これを見ると、20代の入院の率は3%もないことがわかります。
また、国立がん研究センターの統計を見ても、病気の中でも治療に時間がかかるとされている「がん」の罹患率はかなり低いことがわかります。
これらのことからもわかるように、20代では入院のリスクがかなり低いことから、入院や手術を保障する医療保険は必ず加入しなければいけないということはありません。
公的保障や預貯金でカバーできれば医療保険は必要ない
病気やケガで入院した場合、あなたが会社員であれば傷病手当金などの公的保障を利用することができます。
傷病手当金とは、連続して3日以上仕事に就けなかったとき、最高で1年6ヶ月まで標準報酬月額の平均の2/3までが支給されるというものです。
独身か既婚かにもよる
ただし、この意見はあなたが独身か既婚かによっても変わってきます。
独身であれば、これらのデータが示すように医療保険が必要ないかもしれませんが、既婚者であれば、あなたが入院や手術をしている間にもかかる家族の生活費や家賃、住宅ローンなどに不足が出た場合に穴埋めをしなければいけない可能性が出てきます。
既婚者の場合、もしも大きな病気やケガで入院した場合に、どれくらいの費用が必要で、預貯金でどれだけ補てんできるか、足りない分をどう補うかを考えておく必要があります。
そして、もし医療保険が必要という結論に達した場合に、はじめて検討してみるのもいいでしょう。
医療保険と同様に必要ない保険
20代には医療保険と同様に必要ない保険があります。
それが、高額な死亡保障です。
一般的な葬儀費用の平均は、日本消費者協会の調べによると、約121万円といわれています。
保険の営業マンに、このようにいわれて死亡保険に加入する人も多いと思いますが、ネットで調べれば最安で20万円前後で葬儀を行うこともできます。
これくらいの金額であれば、わざわざ保険に加入しなくても現金や預貯金で用意することも可能ではないでしょうか。
20代が医療保険に加入するメリット・デメリット
20代で医療保険を検討するのであれば、加入前に必ずそのメリットやデメリットを確認しておきましょう。
20代が医療保険に加入するメリット
病気やケガに対しての経済的な安心
病気やケガで入院をした場合、会社員であればうえでもお伝えしたように傷病手当金などの公的保障を利用できます。
ただ、もし傷病手当金を受け取ったとしても、毎月の支出(家賃など)で生活費や治療費が足りなくなった場合には困ってしまう人も一定数出てきます。
また、預貯金が少ない人も同様で、毎月の保険料を支払っても万が一の時に困らないように医療保険に加入する人もいます。
家族に迷惑をかける可能性が減る
あなたに万が一のことが起こったとき、家族が第一にサポートしてくれるかもしれません。
そのサポートのひとつが経済的なサポートになりますが、もしあなたが家族に迷惑をかけたくないと思うのであれば、医療保険で受け取れる給付金の一部を、家族の見舞いの手当てや交通費に充ててもいいかもしれません。
ただ、これはあくまでも想像できる範囲での話ですので、実際にあなたの家族がどうか、しっかりと考えてから医療保険への加入を検討してください。
20代が医療保険に加入するデメリット
少ない収入の中で支払うことの危険性
20代は社会人としてまだ経験も浅いことが多く、収入も少ないのが一般的です。
少ない手取りの中から、家賃や生活費、スマホなどの通信費、交際費などを引けば、保険に充てるための予算は少なくなるのが当たり前です。
保険に支払う費用で生活が圧迫されないよう、いくら営業マンに「これは貯金のような保険ですから」といわれても、そのような言葉に惑わされないようにしましょう。
預貯金が増えない
保険にかける割合が生活を圧迫するようだと、預貯金が増えることはありません。
30代になり、結婚をしたり家族が増えたりすると、なかなか貯金ができなくなりますので、独身のうちに結婚資金を貯めたい、とりあえずお金を貯めたいと考えている人は、無駄な保険にお金を支払うことからやめてみてはいかがでしょうか。
1ヶ月1万円の保険をやめれば、1年で12万円、5年で60万円、10年で120万円も貯めることができます。
医療保険は1件あたりの単価が3,000円ほどと小さいために「これくらいならまあいいか」と考えがちです。
本当に必要なものであればいいですが、もしそうでもないのであれば今すぐやめるべきです。
保険を使う機会が少ないから保険料が無駄になる可能性がある
毎月3,000円を医療保険に支払っていた場合、1年で36,000円、10年で36万円、20年で72万円の支出となります。
さきほど紹介した通り、20代の医療機関の受療率はほとんどないに等しいので、この72万円はほとんど無駄になります。
もし1ヶ月入院したとしても、入院日額5,000円の医療保険であれば、15万円しか戻ってきませんから赤字です。
手術をしても合計で30万円ほどでしょうから、このあたりを計算して、医療保険は本当にあなたにとって必要かどうかを検討するとよいでしょう。
まとめ
20代に医療保険は必要かと聞かれれば、ほとんどの場合で「必要ない」と答えます。
ただ、そこには個人差がありますので、あなたの生活や預貯金の状態などを総合的に判断して、それでも必要であればはじめて医療保険を検討するというくらいでいいでしょう。
「毎月3,000円くらいなら支払える」「もしもの時安心」、これだけで加入を決めてしまうと無駄な出費を増やすだけかもしれませんからご注意ください。