太陽光発電システムと蓄電池の火災リスクと個人でできる対策とは

損害保険の選び方

太陽光発電システムと蓄電池の普及が進むにつれ、火災リスクについての課題が浮上してきました。

太陽光発電システムと蓄電池の設置費用が低下し、家庭用の太陽光発電システムや蓄電池が普及している現在、火災事故が発生するリスクも高まっています。

この記事では、太陽光発電システムと蓄電池の火災リスクについて解説し、個人でできる対策についても考えてみたいと思います。

太陽光発電システムと蓄電池の火災リスクとは?

太陽光発電システムと蓄電池が火災の原因となる要因には、以下のようなものがあります。

1. 電気系統の故障

太陽光発電システムや蓄電池の中には、複雑な電気系統が組み込まれています。

万が一、電気系統に故障が生じた場合、火災の原因になることがあります。

2. 電気系統の過負荷

太陽光発電システムや蓄電池が発生する電気は、電気系統に流れる前にインバーターを通過します。

インバーターが過負荷状態になった場合、発生する熱が引火して火災が発生することがあるので注意が必要です。

3. 蓄電池の過充電・過放電

蓄電池には、過充電や過放電を防止するための保護機能が備わっていますが、保護機能が不十分な場合、過充電や過放電によって火災が発生することがあります。

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太陽光発電と蓄電池のリスクに個人でできる対策とは?

太陽光発電システムや蓄電池が火災事故の原因となることがあるため、保険対策が必要です。

以下に、個人でできる対策を紹介します。

1. 火災保険の加入

太陽光発電システムや蓄電池の設置前には、火災保険の加入を検討しましょう。

火災保険には、火災や雷災、爆発、落雷、風水害、盗難などが含まれます。

もしも火災が発生した場合、保険金で修理費用や損害賠償をまかなうことができます。

太陽光発電システムや蓄電池に火災保険が必要な理由は、設置・運用による火災リスクがあるからです。

太陽光発電システムや蓄電池は、高圧電力を扱うことがあり、適切な設置や保守・点検を怠ると火災や事故のリスクが高まります。

具体的には、太陽光発電システムは、電気を発生させるために太陽光を集めるためのパネルや、発電された電気を取り出すためのコンバーターなど、高圧電力を扱う機器が含まれています。

これらの機器が過熱し、火災を引き起こすことがあります。また、蓄電池も同様に、充電や放電によって過熱し、火災の原因となることがあります。

さらに、火災が発生した場合、周辺の建物や施設に被害を及ぼす可能性があります。

火災保険を加入することで、火災による損害を補償することができます。火災保険には、建物や設備の損害補償だけでなく、周辺住民や第三者への損害補償が含まれるものもあります。

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後付けで太陽光発電システムを設置する際の注意点

新築で太陽光発電システムを取り付けた場合、火災保険の建物の補償に太陽光発電システムは含まれますが、後付けで設置するときには注意が必要です。

保険会社によっては、太陽光パネルの設置によって保険金額が変わる場合があります。

また、保険会社によっては、太陽光パネルを設置する場合には特別な保険料が必要となる場合もあるからです。

蓄電池は普通の火災保険ではない

蓄電池は一般的な住宅火災保険の補償対象ではなく、動産総合保険の補償対象となります。

動産総合保険は、火災、水災、窃盗、落雷などの様々なリスクに対して、ビルやオフィスなどの建物や、家具、備品、機器、在庫などの動産資産を保障する保険です。

蓄電池も、動産総合保険の対象となります。ただし、保険金額や保険料は、蓄電池の容量や設置場所、保険会社によって異なります。

蓄電池の火災リスクは、主に過充電や過放電、短絡、過電流などが原因となり、蓄電池の故障や火災によって、周辺の建物や設備に被害が及ぶ可能性もあります。

そのため、蓄電池の設置にあたっては、保険加入だけでなく、適切な設置場所や安全対策、定期的な点検・保守が必要となります。

また、保険会社によっては、蓄電池の保険に対して特約を設けることもあります。

例えば、蓄電池の故障による事故や火災に対して、周辺の建物や設備への賠償責任を免除する「第三者賠償責任免除特約」や、蓄電池の設置場所における地盤沈下や地震などのリスクに対して補償する「地盤沈下・地震等特約」などがあります。

蓄電池を設置する際には、保険会社との契約内容をよく確認し、適切な保険加入と安全対策を行うことが重要です。

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2. 火災リスクの低減

太陽光発電システムや蓄電池の火災リスクを低減するためには、以下のような対策が有効です。

・定期的なメンテナンス

定期的にメンテナンスを行い、不具合や異常を早期に発見することが大切です。

パネル表面の清掃

太陽光パネルの表面には、ほこりや汚れが付着することがあります。これにより、太陽光の受光量が減少し、発電量が低下する可能性があります。定期的にパネル表面の清掃を行い、発電効率を維持しましょう。

配線・コネクターの点検

太陽光発電システムの配線やコネクターには、変形や断線、腐食が起こることがあります。

これらの問題が発生すると、発電量が低下するだけでなく、火災のリスクも高まります。定期的に配線・コネクターの点検を行い、異常があれば修理を行いましょう。

モジュール・インバーターの点検

太陽光パネルのモジュールやインバーターには、故障や不良が起こることがあります。

これらの問題が発生すると、発電量が低下するだけでなく、火災のリスクも高まります。定期的にモジュール・インバーターの点検を行い、異常があれば修理を行いましょう。

積雪・強風・台風などの自然災害への対策

太陽光パネルは、積雪や強風、台風などの自然災害によって被害を受けることがあります。

これらの災害に備え、定期的に点検を行い、必要に応じて対策を講じましょう。

・過負荷回避

インバーターの過負荷を回避するために、発電量が多い時期には使用量を調整するなどの工夫をすることが必要です。

設備容量の確認

太陽光発電システムの設置時には、設備容量を適切に設定する必要があります。設備容量が不十分な場合は、インバーターが過負荷になり、故障の原因となります。設置前に、設備容量の確認を行い、必要に応じて設備容量を増やすことを検討しましょう。

外気温の影響を考慮する

夏場などの高温時には、太陽光パネルからの発電量が増えるため、インバーターが過負荷になりやすくなります。このため、インバーターの設置場所を風通しのよい場所に設置することで、過負荷を回避することができます。

インバーターの故障を防ぐ

インバーターは、故障の原因となる部品を含んでいるため、過負荷を回避することが重要です。過負荷を回避するためには、故障の原因となる部品の交換やメンテナンスを定期的に行い、インバーターの故障を防ぐことが必要です。

システム監視を行う

太陽光発電システムには、発電量や電圧、電流などを監視するシステムがあります。このシステムを利用し、インバーターの過負荷が発生していないかを定期的に確認することで、過負荷を回避することができます。

・保護機能の強化

蓄電池の保護機能を強化することで、過充電や過放電を防止することができます。

太陽光発電システムにおいて、保護機能の強化は非常に重要です。

保護機能を強化することで、システムの安全性を向上し、トラブルや事故のリスクを減らすことができるからです。

過電圧保護

太陽光パネルからの発電量が増えると、発電量がシステム容量を超えることがあります。その場合、過電圧が発生し、システムの異常や故障の原因となる可能性があります。

過電圧保護機能を強化することで、過電圧が発生した場合にシステムを自動的に切断し、システムの安全性を確保することができます。

過電流保護

太陽光パネルからの発電量が増えると、発電量がシステム容量を超えることがあります。

その場合、過電流が発生し、システムの異常や故障の原因となる可能性があります。

過電流保護機能を強化することで、過電流が発生した場合にシステムを自動的に切断し、システムの安全性を確保することができます。

火災保護

太陽光発電システムには、パネルや配線などが含まれており、過負荷や不良などにより火災のリスクがあります。

火災保護機能を強化することで、火災が発生した場合にシステムを自動的に切断し、火災の拡大を防ぐことができます。

地震対策

地震により、太陽光パネルや配線などが破損することがあります。

地震対策を強化することで、地震によるシステムの被害を最小限に抑えることができます。

3. 専門家による設置・点検

太陽光発電システムの設置や点検には、専門的な知識や技術が必要なため、業者による設置や点検が必要です。

まず、太陽光発電システムの設置には、高所作業や電気設備の専門知識が必要です。

屋根などの高所での作業は、危険が伴います。また、電気設備に関する知識が不足していると、不適切な配線や接続が行われ、火災や故障の原因となる可能性があります。

さらに、太陽光発電システムは、設置後も点検やメンテナンスが必要です。

点検やメンテナンスを怠ると、システムの効率が低下したり、不具合が発生したりする可能性があります。

また、保護機能のチェックや電気設備の点検が不十分な状態で使用すると、火災や感電の危険があるため、定期的な点検が重要です。

業者による設置や点検を行うことで、専門的な知識や技術を持った専門家が作業を行い、安全かつ効率的な設置や点検ができます。

また、業者は設置や点検に必要な道具や機材を持っているため、効率的に作業を行うことができます。

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まとめ

太陽光発電システムや蓄電池の火災リスクは、設置・使用に注意が必要です。

保険対策としては、火災保険の加入が重要です。また、火災リスクを低減するためには、定期的なメンテナンスや過負荷回避、保護機能の強化などが有効です。

専門業者による設置や点検も重要です。安全に設置・使用するためには、リスクを理解し、対策を講じることが必要です。

自分でできることから始めて、専門家のアドバイスを受けながら、安全かつ効率的な太陽光発電システムや蓄電池の設置・使用を心がけましょう。

太陽光発電システムや蓄電池は、エネルギーの自給自足や、災害時の備えとして注目されています。

しかし、設置や使用には注意が必要であり、火災リスクについては特に留意する必要があります。

本稿で述べた保険対策や安全対策を講じることで、安全かつ効率的な太陽光発電システムや蓄電池の設置・使用を実現しましょう。

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参考文献

  1. 太陽光発電システムの設置・運用に係る火災事故について (2019, 経済産業省)

  2. 蓄電池併設型太陽光発電システムの安全について (2019, 経済産業省)

  3. 太陽光発電システムの火災リスクについて (2019, 全国火災予防協会)

  4. 太陽光発電システムの安全管理について (2019, 国土交通省)

  5. 蓄電池の適正な使い方と安全対策について (2020, 関東地方整備局)