専業主婦に保険はいらない?家事労働を金銭換算して見えてくる保険の必要性を現役FPがわかりやすく解説します

専業主婦 生命保険の選び方

「専業主婦は働いていないから保険なんていらない」

そう考えている方も中にはいるかもしれませんが、実はそうではありません。

そもそも、専業主婦も家事や育児という立派な仕事をしていますので、「働いていない」なんて認識は間違いです。

ですから、専業主婦にも万が一のことを考えて保険への加入を検討する必要があります。

そこで、なぜ専業主婦にも保険は必要なのか、その理由とおすすめの保険をわかりやすく解説したいと思います。

専業主婦の家事はタダではない!年収300万円に相当することをまずは知ろう

内閣府の「家事活動等の評価について」によると、専業主婦の家事労働をお金に換算した場合、その金額は年間で300万円程度と見込めることがわかっています。

【無業配偶者の無償労働の貨幣評価(時系列、OC法)】

金額
1996年 303.9万円
2001年 311.5万円
2006年 300.2万円
2011年 304.1万円
※OC法:無償労働を行うことにより、市場に労働を提供することを見合わせたことによって失った賃金(逸失利益)で評価する方法

このように、会社員として外に働きに出ない専業主婦でも年収300万円くらいの労働価値があるということがわかりますので、一概に「働いていない」とはいえないことは一目瞭然です。

そして、実際に家事・育児をしてみるとわかると思いますが、24時間365日、家事(炊事や洗濯以外にも買い物や掃除なども)や育児をしてみると、その大変さがよくわかると思います。

家事を外部委託すると1日約1万円かかる計算になる

専業主婦が亡くなった場合、それまで一人で行っていた家事や育児をどうするか。

「家事代行サービスやベビーシッターを雇えばいいじゃないか」という意見もあるでしょう。

では、家事を外部委託した場合、1日にどれくらいのお金がかかるのでしょうか。

エフピー教育出版の「平成26年サラリーマン世帯生活意識調査」によると、家事を外部業者に委託した場合にかかると思われる1日の費用の平均は9,860円となっています。

ちなみに、ここでいう「家事」とは、炊事・洗濯・育児・買い物・掃除・介護・縫い物・社会活動(子どものPTAなど)をいいます。

しかし、いざ家事代行サービスを頼もうと思ったとき、プライバシーやセキュリティーの問題から、他人を自宅に入れることを嫌がる人も多く、さらにセキュリティー会社と契約するという方もいます。

家事育児をそれまで一手に担っていた専業主婦が亡くなった場合、もし夫が一人で家事育児をすべてこなすとすれば、1日約1万円、1ヶ月で約30万円の支出が増える計算になります。

もし「実家に頼るから大丈夫」「両親に手伝ってもらう」と考えている方がいれば少し考えてみてください。

  • あなたの両親は24時間365日ずっとあなたのために働いてくれますか?
  • あなたの両親はこれからもずっと健在ですか?
  • 本当にあなたの実家に帰ることはできますか?
  • 子どもは引っ越しに賛成してくれますか?

このあたりをよく考えてみると良いでしょう。

専業主婦は収入保障保険で万が一に備える

では、専業主婦に必要な保険とはいったいどのようなものでしょうか。

専業主婦の保険でまず考えることは、家事代行サービスを利用した際の費用を保険でカバーするということです。

例えば、家事代行サービスにかける予算を1日1万円と考えたとき、1ヶ月で30万円を預貯金から捻出するか保険で準備するかを考えます。

収入保障保険は「毎月〇〇万円」というような形で保険金を受け取るイメージですので(一時払いも可能)、30歳女性で保険金額を30万円で設定すると保険料は約5,000円前後となります。

保険料は保険会社ごとに異なりますので、無料の資料請求などを利用して保障内容と一緒に検討してみると良いでしょう。

また、専業主婦が老後の年金を考えたとき、結婚前に厚生年金に加入していた場合はその分の老齢厚生年金の上乗せはありますが、老齢基礎年金だけで考えると月額7万円にも満たない金額ですので、予算に余裕があるのであれば、個人年金などの貯蓄性のある商品の検討をしてみるのもありです。

まとめ

専業主婦が毎日休みなく家事や育児をしている労働価値は年収300万円と同じだけありますので、万が一のことを考えた場合、収入保障保険などの加入を検討することをおすすめします。

家事や育児を仕事と両立させようとすれば無理が生じてしまいますので、家事代行サービスなどを利用して負担を減らすことも必要となります。

その費用を預貯金でまかなうのか保険で準備するのかは各家庭の経済状況にもよりますので、まずはしっかりと夫婦で話し合ってみると良いでしょう。