保険業界はこれからの10年でAIに取って代わってなくなる業種の一つといわれています。
実際、保険業界では着実に変革が進んでいて、申込手続きのデジタル化(ペーパーレス)なども大手保険会社を中心に進んでいます。
そこで、現状の保険業界のAI化の実態と、その中で営業マンとして生き残るために必要な「たった一つのこと」について解説したいと思います。
保険業界は着実にAI化が進んでいる
保険業界のAI化は、営業マンの知らないところで着実に進んでいます。
現状に甘んじていると、時代の波にすぐに飲み込まれてしまうことになりかねません。
2016年 日本生命が保険の引き受けや支払い査定をAI化
まず有名なところでいえば、2016年10月に日本生命が保険アンダーライティング機能(保険の引き受けや支払い査定機能)を自動化するため人工知能(AI)を導入する検討をはじめたことでしょう。
日本生命は、
顧客が人間ドックで受診した診断結果のデータ約600パターンのうち、特定の20~30項目を抽出する実験を始め、診療報酬明細書も対象項目に広げていき、集めたデータをAIが処理できる仕組みを整備する。
と発表しました。
それまで人の目で行っていた保険の引き受けや支払い査定の業務をAI化することによって、業務の効率化を図るだけでなく、それまでの査定で加入できなかった人も加入できるようになるなど、顧客サービスの向上に繋げる狙いもあるそうです。
2016年 損保ジャパン日本興亜や三井住友海上などはコールセンター業務の一部をAI化
損害保険ジャパン日本興亜株式会社は、2016年2月にコールセンターの一部においてAIや音声認識技術を活用した「アドバイザー自動知識支援システム」の運用を開始したとは発表しました。
それまでコールセンターでは、顧客からの様々な問い合わせに対して、各種マニュアルや規定、商品パンフレット、FAQ集、社内イントラネットなどを参照して対応していましたが、スタッフの熟練度によって対応が異なり顧客満足が左右される問題がありました。
しかし、これらをAI化することによって顧客からの問い合わせ内容をAIが瞬時に判断し、適切な回答候補や情報をPC上にリアルタイムで表示することで、スタッフの熟練度に左右されずに誰でも適切な回答ができるようになりました。
このような動きは三井住友海上やあいおいニッセイ同和でも行われており、今後はさらに多くの保険会社で導入されると考えられています。
2016年 保険クリニックが保険の比較を容易にするアプリを開発
2016年8月には、保険ショップの「保険クリニック」(全国163店舗)が、スマートフォンやタブレット等のカメラで撮影した生命保険証券を自動分析するアプリ開発に着手したことを発表しました。
保険を比較するための方法のひとつとして保険証券の分析がありますが、数多くの保険会社の商品情報を熟知していることが求められることから、経験豊かなFPや営業マンでなければ的確な分析作業と提案が難しいといわれています。
しかし、このアプリがあれば、保険証券から保障内容を自動的に分析することができるので、誰でも簡単に保険証券の分析ができて、時間の短縮もかねて営業の見方となります。
AIの仕事が増える中で生き残るために必要なたった一つのこと
AIの仕事が増えて、人の手がかかる仕事が減る中で、生き残っていくためには何が必要なのでしょうか。
営業マンとしての現状は、将来はどのように働き方が変わっていくのでしょうか。
ネットで手続きが完結する保険会社がさらに増える
今でも、インターネットさえ繋がっていれば、パソコンでもスマートフォンでも手続きができるネット系の保険会社がいくつもあります。
今後、大手保険会社でもこのようにネットですべての手続きが完結する動きが活発になるのは当然のことで、数種類の保険商品からテスト導入され、数年後には一気に全体に広がっていくことは間違いありません。
保険の引き受けや支払い査定、コールセンター業務からはじまったAI化は、あっという間に営業マンの仕事にも波及していきます。
生命保険会社や保険代理店の営業マンは確実に減る
保険業界のAI化の流れは止めることはできません。
その流れは裏方だけでなく、表に立って顧客と向き合っている営業マンにも必ずやってきます。
そしてその流れは保険会社の営業マンだけでなく、保険代理店の営業マンやFPにもわけ隔てなく近い将来必ずやってきます。
AI化によって、営業マンに頼ることなく保険の比較・説明・加入手続き・支払い手続き・保全手続きができるようになるので、確実に営業マンの数は減ります。
もちろんすべての営業マンがいなくなることはありませんが、営業成績の悪い営業マンから順々に淘汰されていくことは間違いないでしょう。
生き残るためには「オンリーワン」になるしかない
では、保険業界のAI化の波に飲み込まれずに生き残るためにはどうしたら良いのでしょうか。
それは、「オンリーワン」になることでしか実現できないといっても過言ではありません。
保険業界で生き残るための「オンリーワン」とは、AIでは取って代わることができない特徴・キャラクター・能力を持つことです。
AI化が進んでも保険を契約するのは「人」ですから、人との繋がりを重視して契約をもらう営業マンがさらにそこに特化していけば、一定数いる「非AI」を希望している顧客層を独占できる可能性はあります。
まとめ
保険業界のAI化の波は誰にも止めることはできません。
AIでできることはAIに任せるということが当たり前になり、それは業務の効率化や顧客満足に繋がる肯定的なものとなります。
しかしそれは、営業マンにとっては荒波のように感じるかもしれません。
その荒波をどのように乗り越えるか、乗りこなすかは日々の営業スタイルや努力にかかっていますので、時代の波に翻弄されないように「オンリーワン」と呼べるものが自分にあるかどうか、どのように営業スタイルを再構築していくかを考えることが必要です。
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