住宅ローンを組むときに必ず一緒に契約する団信(団体信用生命)は、もし住宅ローンの支払期間中に死亡したときは、それ以降のローンの支払いが免除されて自宅は家族のものになるという性格の金融商品のひとつです。
団信はある意味での「死亡保障」と同じですので、団信があれば保険はいらないと考える方もいるようです。
しかしそれは本当に正しいのでしょか?
そこで、このページでは住宅ローンを組んでいる人でも保険が必要な理由を3つ解説したいと思います。
住宅ローンを組んでいる人に団信以外に保険の検討が必要な3つの理由
なぜ団信という死亡保障がありながら、保険が必要なのでしょうか?
その理由は3つあります。
- 団信は基本的に死亡保障で働けなくなったときの保障はないから
- 会社員が受け取れる傷病手当金は意外と少ないから
- 団信よりも保険料負担が軽くなるケースもあるから
団信は基本的に死亡保障で働けなくなったときの保障はないから
団信は、住宅ローンの債務者が死亡したときに、ローンの残高が保険金として支払われるというものです。
万が一のとき、団信に加入していることで住宅ローンの残債は清算されますが、病気やケガになってしまい幸いにして一命をとりとめたとしても、すぐに仕事に復帰できないことも少なくありません。
その場合、入院給付金などの保障がない限り住宅ローンの支払いは続きますので、収入と支出のバランスが崩れて生活が困窮してしまうことになる可能性があります。
会社員が受け取れる傷病手当金は意外と少ないから
会社員などが加入している健康保険には傷病手当金という保障があり、働けない状態を最長で1年6ヶ月間保障しています。
そ支給額は「過去1年間の標準報酬月額の平均を1/30にした額」の2/3です。
例えば、標準報酬月額30万円の人が傷病手当金を受け取ると、受け取ることのできる金額は以下のようになります。
- 1日あたり6,667円(1円未満四捨五入)
- 1ヶ月分なら約20万円(6,667円×30日)
傷病手当金の計算をする際に気をつけないといけない点がひとつあります。
それは、傷病手当金の計算のベースにボーナスはカウントされないということです。
例えば、月給38万円・ボーナス(賞与)6ヶ月分228万円の人の年収は684万円ですが、傷病手当金の計算の対象になるのは月給部分の456万円だけとなりますので、受け取れる傷病手当金は1年間支給を受けても約304万円(25.3万円×12ヶ月)となります。
また、この傷病手当金は国民健康保険では任意給付となっていますので、多くの自営業者等の方には縁のない保障となっています。
団信よりも保険料負担が軽くなるケースもあるから
最近では、団信でも商品の差別化が行われており、三大疾病になってしまった賠に保険金が支払われるものなどもありますが、年齢や年数によっては生命保険のほうが安く保険料負担が軽くなるケースもあります。
もし団信の保険料負担が大きくて少しでも節約したいと考えている方は、一度保険相談などをして比較してみると良いでしょう。
住宅ローンを組んでいる人が検討すべき保険
住宅ローンを組んでいる人が検討すべき保険は2つです。
- 三大疾病の保障のある収入保障保険
- 所得補償保険
どれも死亡保障よりも、病気やケガで仕事ができなくなった場合の保障にポイントを置いているところが特徴です。
三大疾病の保障のある収入保障保険
一般的な収入保障保険は死亡保障がメインですので、契約者が死亡したとき(高度障害も)年金のように保険金を毎月受け取ることができます。
民間の生命保険会社の中には、この収入保障保険に特約で三大疾病の所定の状態になった場合に保険金を受け取れるものを販売している会社があります。
団信にも三大疾病を保障するタイプがありますが、性別や年齢、払込期間によっては民間の生命保険会社の商品のほうが安く加入できるケースもありますので一度検討してみてはいかがでしょうか。
所得補償保険
所得補償保険は、被保険者が病気やケガで働けなくなったときに保険金が支払われるものです。
基本的に、死亡したときに保障される団信とは違い、自宅療養などの場合も保険金を受け取ることができるので、死亡保険よりも使い勝手が良いとされています。
また、会社員のように傷病手当金をあてにできない自営業者などは、この所得補償保険を傷病手当金代わりに契約しているというケースも多く見られます。
まとめ
団信は、住宅ローンを組むにあたって重要な役割を担うものです。
しかし、団信があるからといって保険がまったく必要ないかといえば、そうではないことがわかったはずです。
大切なことは、万が一のリスクを回避するためにバランス良く金融商品を「配置」することです。
団信だけでも、保険だけでもバランスは崩れてしまいがちになりますので、団信も保険も適材適所で配置することが、本当の意味での「保険」といえるのではないでしょうか。
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