平成30年北海道胆振東部地震における地震保険の必要性

地震保険の必要性 損害保険の選び方

このたびの地震(北海道胆振東部地震)で被害に遭われた方に、心からお見舞い申し上げます。

平成に入ってから、日本はこれまで数多くの大地震に襲われています。

以下はその一部です。

・伊豆半島東方沖(平成元年 海底火山噴火)
・釧路沖地震(平成5年)
・北海道東方沖地震(平成6年)
・阪神淡路大震災(平成7年)
・鳥取県西部地震(平成12年)
・十勝沖地震(平成15年)
・新潟県中越地震(平成16年)
・東日本大震災(平成23年)
・熊本地震(平成28年)

このように大きな地震に襲われることが多くなったと感じる今、地震保険の必要性について改めて考えてみたいと思います。

平成30年北海道胆振東部地震の規模と被害状況

地震の規模

北海道胆振東部地震は、平成30年9月6日の朝3時7分頃に、北海道胆振地方を震源として発生した地震です。

地震の規模はマグニチュード6.7、震源の深さは37km、最大震度7を厚真町で観測しました。

地震の被害状況

北海道庁の広報が発表した報道によると、平成30年9月7日現在、次のような被害状況が報告されています。

人的被害

死亡8、心肺停止7、重症2、中傷等8、軽傷131、負傷程度不明218、安否不明25
→9/10現在、死者は40名となりました

建物被害

全壊28、半壊18、一部損壊9

住民避難

768箇所7,339 人(累計 8,616 人)

道路・鉄道・空港・港

国 道:通行止め 1 路線 1 区間(11:00 現在)

道 道:通行止め 14 路線 20 区間(11:00 現在)

高速道路:通行止め 1 路線 1 区間(11:00 現在)

鉄・軌道:午前全線運休、午後からの運転再開も未定。特急列車は終日運休(8:00 現在)

空 港:国内線 141 便が欠航(新千歳発着便・関西便中心)、国際線は確認中。
9/7 の臨時運航 羽田~旭川 JAL(2 往復 4 便)、丘珠~釧路 ADO(1 往復 2 便)、丘珠~函館(1 往復 2 便)

港 湾:本州とのフェリー全便運航、離島フェリー1 便欠航(11:00 現在)

電気・水道

電気:1494.7 千戸停電(9:00 現在)

水道:全面断水 2(安平町[約 5,900 戸]、厚真町[約 2,100 戸])(8:30 現在)

一部断水 30(むかわ町[調査中]、室蘭市[2,910 戸]、登別市[30 戸]、洞爺湖町[20 戸]、伊達市[300 ]、壮瞥町[10 戸]、日高町[2,285 戸]、浦河町[55 戸]、札幌市[15,108 戸]、恵庭市[14 戸]、浦臼町・雨竜町[20~30 戸]、秩父別町[10 戸程度]、夕張市[4 戸]、小樽市[48 戸]、京極町[40~50 戸]、余市町[50 戸]、赤井川村[65 戸]、函館市[496 戸]、上ノ国町[6 戸]、美瑛町[3~4 戸]、増毛町[6 戸]、浜頓別町[4 戸]、帯広市[1 戸]、更別村[1 戸]、音更町[5 戸]、池田町[45 戸]、津別町[17 戸]、置戸町[15~20 戸]、釧路町[54 戸]) (8:30 現在)

被害状況の詳細については、北海道庁のホームページで公開されていますのでご確認ください。

地震保険の必要性について考えてみる

地震による火事は火災保険では補償されない

大地震が起こると、広い範囲で停電が起こります。

家電にスイッチが入ったまま避難をしてしまった場合、もし配線のどこかで断線が起きていて、そのまま停電が復旧して電気が通ると、配線がショートして火事になってしまいます。

このような火災と津波による瓦礫の散乱が原因で起こる火災は、東日本大震災のときに問題視されました。

詳しくは消防防災科学センターのホームページに載っていますので参考にご覧ください。

通常の火事は火災保険の補償対象ですが、地震が原因の火事は補償の対象外です。

これは、財務省のホームページにもこのように記載されています。

火災保険では、地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・ 拡大した損害は補償されません。

引用:財務省「地震保険制度の概要

ですから、火災保険に加入しているからといって、安心することはできません。

地震保険は、地震による損害以外にも、地震が原因の火事も補償の対象としていることを覚えておきましょう。

地震保険の保険金は住宅復旧よりも生活再建の意味がある

地震保険の保険金は火災保険で設定した保険金額の最大50%です。

5000万円の火災保険に加入しているなら、最大で受け取れる地震保険の保険金は2500万円ということになります。

このことからも分かる通り、地震保険の保険金では大きな損害を受けた住宅の復旧費用には足りません。

そこで、地震保険の保険金の使い道としては以下のようなものがあります。

・住宅の修復費用
・ホテルなどで避難生活を送ったときの宿泊代
・遠方へ避難するときの交通費
・新たに契約した賃貸物件の当面の家賃
・避難生活中の生活費 など

このように、住宅の復旧費用よりも、当面の生活費にあてて生活再建を図る目的もあることを覚えておきましょう。

後悔しないための地震保険の選び方

地震保険はどの保険会社で加入しても同じ

地震保険は、どこの損害保険会社で加入しても、補償内容や保険料に変わりはありません。

ただし、火災保険とセットで加入することが決まりですので、地震保険単体で契約することはできません。

もし、火災保険には加入しているけど地震保険には加入していないという場合には、火災保険に加入している損害保険会社で加入することとなります。

保険料が最大50%の割引もあるのでお得

「地震保険は高いから入れないな・・・」

そう思っていませんか?

実は地震保険には様々な割引があり、最高で保険料の50%も割引されることもありお得です。

また、保険期間が2年以上(最高5年)であれば年数が多いほど割引されます。

以下がそのお得な割引です。

割引制度

割引の説明

保険料の割引率

建築年割引

(契約開始日が平成

13年10月1日以降)

対象建物が、昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合 10%

耐震等級割引

(契約開始日が平成

13年10月1日以降)

対象建物が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に規定する日本住宅性能表示基準に定められた耐震等級 (構造躯体の倒壊等防止) または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級 (構造躯体の倒壊等防止) の評価指針」に定められた耐震等級を有している場合 耐震等級1

10%

耐震等級2

30%

耐震等級3

50%

免震建築物割引

(契約開始日が平成

19年10月1日以降)

対象物件が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「免震建築物」である場合 50%

耐震診断割引

(契約開始日が平成

19年10月1日以降)

地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合 10%

期間

係数

2年

1.9

3年

2.75

4年

3.6

5年

4.45

5年契約にすると、「1年分の保険料×4.45」が5年分の保険料になりますので、1年契約を5回更新するよりもお得になります。

家財の地震保険は保険金の支払いも早いのでおすすめ

地震保険は、建物以外に「家財」でも契約することが可能です。

例えば、

家財の地震保険(火災保険金額500万円、神奈川、コンクリート造)
・地震保険は250万円
・保険料は年間で3,000円~6,000円
・建物の構造によっては、ここから最大50%の割引が適用されます

これを見ると、意外と家財の地震保険は安く加入できることがわかります。

そして、家財は建物と違い、保険金の請求から受取までがスピーディーです。

家財の地震保険の支払い査定に鑑定人の査定は基本的に必要なく、契約者が写真などを撮り、それを報告書と一緒に保険会社に提出するだけで査定が進みます。

生活再建という意味では、このスピード感が切迫した被災者を助ける大きな力となります。

まとめ

大きな地震が起こると、想像を絶するような被害が人々を襲います。

「自分だけは大丈夫」、そう思っている人も明日は我が身です。

私はこれまでに何度も、「地震保険に助けられた」「これがなかったらと思うとゾッとする」という声を聞いてきました。

そして同時に、「地震保険にあのとき加入していれば・・・」という声も残念ながら聞いてきました。

地震保険に加入することは、火災保険だけの加入よりも支出が増えることは確かです。

加入に二の足を踏みたくなる気持ちもわかります。

しかし、こう何度も大きな地震が日本全国で起きている現状を考えたとき、そろそろ地震保険への加入を真剣に検討しなければいけないのではないでしょうか。

地震が起こるリスクが高まると、将来的な地震保険の料率が上がり、保険料も上がります。

地震が起こる確率、保険料の値上がり、もう今までのように時間をかけて悩むことはできないかもしれません。