現在、保険会社に勤務していて、これから代理店に転職しようと考えている方は、そのメリット・デメリットをしっかりと確認してください。
ここでは、実際に保険会社から代理店へ転職した私の経験からどのようなことに注意したらいいかをお伝えしたいと思います。
保険会社から代理店へ転職するメリット
取り扱う商品が増える
これが一番の魅力ではないでしょうか。
実際、私も一社専属の営業マンだったときと比べて、生命保険・損害保険合わせて30社ほどの取り扱いができました。
それまで、どんな顧客であっても自社の商品の中からしか保険を紹介できず、やむを得ない場合は同業他社の知り合いを紹介して、そちらで保険加入をしていただくこともありました。
これは営業マンとしてはかなりのストレスでしたが、代理店へ転職して、そのストレスから解放されるとともに、顧客に合わせて保険会社を選択して提供できる喜びを知ることができました。
営業時間に余裕ができる
保険会社に勤務している頃は、朝礼や夕礼が必ずあり、どんなに遠くのアポでも必ず戻らなければいけない規則がありました(出張は可能)。
自分のアポイントよりも会社の行事やチームの会議などを優先しないといけないことが多くありましたが、代理店へ転職して、そのような集団行動を優先するようなわずらわしさはなくなりました。
しっかりと勤怠管理さえしていれば、直行直帰も認められましたので、仕事優先、家族優先で働くことが増えました。
収入(報酬)が増える
取り扱う保険商品にもよりますが、保険会社時代よりも代理店のほうが報酬が増えます。
これは、単純にコミッション率が上がるからです。
例えば、
代理店・・・保険料の70%が報酬(初年度)
次年度からはそれぞれ報酬は下がりますが、同じ商品を販売したとしても、受け取れる報酬にこれだけの差ができていました。
これは、保険会社は会社全体の収益や経皮などを考えて報酬額を決めるのに対して、代理店は最低限の会社の収益と営業マンに最大限還元する仕組みの違いがあります。
保険会社から代理店へ転職するデメリット
厚生年金や退職金などの福利厚生がない場合がある
保険会社に勤務している場合、正社員や契約社員ですので、厚生年金や健康保険、退職金規定、ボーナス規定などの福利厚生が揃っています。、
反対に代理店の場合、国民年金、国民健康保険(どちらも全額自己負担)、退職金規定なし、ボーナス規定なし、これが一般的です。
規模の大きな代理店であれば、福利厚生も整っているところもありますが、その場合でも普通なら会社と従業員が折半の厚生年金や健康保険を、社員が全額負担するという形態を取っている代理店も多く存在します。
教育環境が整っていない場合がある
保険会社の場合、1ヶ月に1回程度、もしくは会社全体で営業スキルを高めるための勉強会をしたり、コンプライアンスに対する研修を受けたりと充実しています。
反対に代理店の場合、勉強会やコンプライアンス研修はもちろん実施しますが、その内容はまだまだ未熟で、個人が自主的に勉強するという風潮がいまだに多く残っています。
保険業界の流れは早く、法改正も毎年のように行われていますので、情報の波に取り残されないように代理店の勤務の方は注意しなければいけません。
転職後に取り扱う商品が減る可能性もある
これは転職するときにはわからなかったことのひとつです。
私が転職した都内の某代理店は、生命保険・損害保険合わせて30社と提携をしていました。
しかし、私が転職をして5年が経過したあたりから、25社、20社と取扱いできる保険会社が減っていったんです。
保険会社と提携するには、毎年与えられた予算をクリアする必要があり、その予算をクリアすることで翌年も提携ができます。
ただ、30社も提携していれば、販売しやすい保険会社もあれば、逆にどう考えても顧客にメリットがない4番手5番手の保険会社もあります。
そのような保険会社の商品は私も販売する機会がありませんでしたので、自然と提携解除となっていきます。
トップの鶴の一声で動くことが多い
これは規模の小さい代理店になればなるほどいえることです。
例えば、
代理店ポイントが足りないので、今日から月末まではA社の商品を徹底的におすすめしてください。
などの指令は日常茶飯事です。
もっと強烈だったのがこちらです。
来年からコミッション率を改定しますので宜しくお願いします。
これは代理店が生き残るために必要なことですので、ご理解お願いします。
コミッション率が変更になるということは、私たちの報酬が変わるということです。
生活に直結するような変更を、トップの鶴の一声で簡単に行ってしまうのです。
もちろん使用されている私たちに反論できるわけがなく、反対ならやめてもらって構わないという姿勢も透けて見えました。
まとめ
保険会社も代理店もそれぞれ、メリット・デメリットがあります。
近年では代理店への金融庁からの締め付けも多くなったことから、その「自由さ」は少なくなっている傾向になります。
それでもやはり報酬が増えるというのは魅力のひとつです。
コミッション率や勤務体系は代理店によって様々ですので、もし代理店に転職を考えている方は必ず複数の代理店を比較検討するようにしましょう。
そして、できれば実際にそこで働いている人に、その代理店の雰囲気や仕事の仕方、コミッション率なども聞いてから判断すると失敗は少なくなります。