終身保険は貯金代わりってホント?営業マンにだまされないために覚えておきたいメリット・デメリット

貯金 生命保険の選び方

「終身保険は貯金代わりだから損をしないので安心ですよ。」

私もたくさんこの言葉を使って営業してきました。

もちろん広い意味では間違っていませんが、そこまでメリットがあるのでしょうか?

保険業界22年の私が、今だからいえる本音を紹介したいと思います。

終身保険は本当にお得なの?

そもそも貯蓄目的はあるの?

終身保険は、保険料を「60歳払い」など支払い期間が満了するタイプ(有期型)と、「終身払い」のように一生涯払い続けるタイプ(終身型)とがあり、支払い期間が決まっているタイプには一定の貯蓄性があります。

以下が終身保険(有期型)のイメージです。

「支払いが満了した後に、支払保険料総額よりも解約返戻金が上回る」というのが、終身保険が貯金代わりといわれる理由です。

終身保険のメリット

将来のため

お金が将来に向かって貯まっていきますので、遠い将来になればなるほど、その貯まった資金を使うことができるようになります。

払込期間が満了して、時間が経過すればするほど解約返戻金の額も増えていきます。

なんとなく貯めるなら利率の良いもの

2018年8月現在の普通預金の金利は0.001%です。

これは、普通預金に100万円を1年間預けたときの利息が100円(10年で2,001円)だということです。

60歳払込の終身保険の場合、30歳男性が60歳支払い満了時には110%の解約返戻金になるイメージですから、使い道のないお金を普通預金に入れておくなら、終身保険に加入したほうが長期的に見てもお得といえそうです。

もしものときには貸し付けもできる

終身保険の解約返戻金は「契約者貸付」という制度により、一定の範囲内で貸付を受けられます。

貸付の理由は人それぞれで、生活費への補てん、住宅のリフォーム代金、子どもの結婚資金の捻出など、多岐にわたります。

実際に契約者貸し付けをする際に、その理由を申告する必要はありませんので手続きは難しいものではありません。

ただ、貸付に伴い利息が発生しますので、返済の際には貸し付けを受けた金額に利息を足して返済することになります。

終身保険のデメリット

最後まで継続できないケースが続出

終身保険は保険料の支払い満了後に、総支払保険料を解約金が上回ります。

独身のときは自由に使えるお金があっても、結婚して夫婦で財布を共有するようになると、今まで続けてこられた保険料の支払いが困難になるケースを多く見ます。

途中解約は損をしてしまう

終身保険は支払い満了後に「お得」になる保険です。

ですから、途中で解約をしてしまうと、解約返戻金が支払保険料を下回り「損」をしてしまいます。

結婚や出産、転職や退職などで保険料の支払いが困難になって解約をすると、多くの場合で損をしてしまいますので、何が合っても継続できる金額で契約することが求められます。

終身保険以外の貯蓄型保険とは

終身保険以外にも、貯蓄型保険はありますのでその一部を紹介します。

変額保険

変額保険では、株式や債券を中心に資産を運用し、運用の実績によって保険金や解約返戻金が増減する保険で、投資リスクは個人が負うことになります。

保険金額は最低保証されていますが、解約返戻金は保証されていませんので、運用が悪くなれば損をします

外貨建て保険

外貨建て保険とは、保険料の運用・保険料の払い込み・保険金の受け取りが外貨(主に米ドル・ユーロ・豪ドル)で行われる保険のことで、円建ての保険と違い利率が高いので、保険料が安く抑えられるメリットがあります。

保険金や満期金、解約返戻金が為替変動の影響を受けるので、日本円で受け取る際に円高になると損をする可能性があります

養老保険

養老保険では、一定の保険期間が満了すれば、保険金額と同額の満期金を受け取ることができます。

予定利率が下がっている現在、貯蓄性のうま味はほとんどなく、余計な特約などを知らずに付けてしまうと、満期金を支払保険料総額が上回ることも少なくありませんので注意が必要です。

個人年金保険

個人年金保険は、一定期間保険料を支払い、指定された年齢に達すると決められた額の年金を一定期間または一生涯受け取れる保険です。

昔に比べて利率が下がり、うま味はなくなってきましたが、それでも年末に個人年金保険料控除が使えることもあり、まだまだ利用する価値のある保険です。

営業マンに騙されないための本当に得をする貯蓄型保険の選び方

終身保険は貯金ではない

どんなに営業マンが「この保険は貯金代わりになりますから」といっても違うものは違います。

終身保険は貯金ではありません。

貯金はいつでも自由に引き出して使うことができますが、終身保険は「いつでも自由に」引き出すことはできません。

仮に貯金代わりになるとしても、それは長期間経過した後のことです。

10年も20年も自由に使うことができないものを貯金とはいいません。

余裕資金がなければ契約しない

保険料の支払い満了まで続けることが損をしない条件ですので、無理な条件で契約をすると後で痛い目に遭います。

多く目にするケースでは、

・独身時代に1ヶ月3万円の保険料の終身保険に加入
・5年後、結婚をして今までのように自由にお金が使えなくなる
・その2年後、子どもが生まれ出費が増えて保険料の支払いが困難になる
・保険を解約する

このような事例が少なくありません。

終身保険に加入するなら、何があっても解約しないだけの金額ではじめることが大切です。

そして、生活費を削るなど本末転倒ですので、余裕資金がなければ終身保険への加入は控えましょう。

営業マンの口車に乗らない

営業マンは契約を取りたいので必死にあなたを口説いてきます。

ちなみに、終身保険を勧めてくる営業マンは外資系に多いことも覚えておきましょう。

これには次の理由があります。

・国内大手保険会社では終身保険の販売をしても営業成績にあまり影響がない
・外資系保険会社では、掛け捨て商品よりもはるかに大きく営業成績に繋がる

ですから、外資系の営業マンがいかにも「それっぽく」あなたを説得しようとしてきても、商品に魅力が感じられなかったり、資金に余裕がない場合にははっきりと「契約しない」と断りましょう。

まとめ

終身保険で「お得感」を感じるためには、保険料支払い満了時以降まで継続することが必要になります。

ですから、営業マンのセールストークに乗せられて、高額な契約で加入しないように注意することが必要です。

独身時代なら余裕だった保険料の支払いも、結婚・出産を機に余裕がなくなるケースは少なくありません。

終身保険を契約するときは、長期間での支払いが可能かどうかをしっかりと検討して、支払い能力に余裕を持って契約をしましょう。