南海トラフ地震の津波は地震保険で補償されるの?東日本大震災のときの事例を紹介します

南海トラフ地震 損害保険の選び方

気象庁の調べによれば、南海トラフ地震が発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。

また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。

では、南海トラフ地震による津波は地震保険で補償されるのでしょうか?

東日本大震災を経験した私が、そのときの保険会社の対応をまとめましたので、基本補償と一緒にご覧ください。

地震保険の補償内容

地震による津波は地震保険の補償対象です。

ですから、南海トラフ地震で発生する可能性のある津波も、もちろん地震保険の補償対象です。

地震保険は損害保険会社で加入することができますが、必ず火災保険とセットで加入する必要があります。

また、保険会社ごとで補償内容や保険料に差はなく、どこの保険会社で加入しても条件は同じです。

地震保険の補償範囲

地震保険では、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失によって、保険の対象である建物または家財が損害を受けた場合に保険金を支払います。

ですから、地震保険に加入していない住宅が、地震による火災の被害に遭ったとしても、火災保険だけでは補償されませんので注意が必要です。

地震保険の対象となるもの

地震保険の対象となるものは以下の2つです。

・居住用の建物、住居のみに使用される建物および併用住宅
・居住用建物に収容されている家財一式

ただし、事務所など住居として使用されていない建物、自動車や1個または1組の価額が30万円を超える貴金属類など(明記物件)については地震保険の対象とはなりませんので注意が必要です。

地震保険の補償額について

地震保険は、火災保険と異なり、修理見積もりをもとに素の保険金額を支払うのではなく、損害状況に応じて一定の金額を支払うものです。

損害の程度によって「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の認定を行い、それぞれ地震保険金額の100%・60%・30%・5%をお支払いします。

損害の程度が「一部損」に至らない場合は、保険金は支払われません。

※保険の対象が建物の場合、建物の主要構造部(軸組・基礎・屋根・外壁等)の損害の程度を確認します。

損保ジャパン日本興亜がホームページ上で紹介している補償額についてのイラストがわかりやすいものでしたので、こちらでご紹介します。

地震保険補償額

東日本大震災のときの損害保険会社の対応

東日本大震災は、みなさんも承知の通り広範囲で甚大な被害をもたらしました。

そのときの保険会社の対応は、通常の事故対応と少し違って「緊急的」なものでした。

以下は、そのときに緊急的に通達として私たち内部の人間だけに伝えられた情報の一部です。

被害範囲が広い地域は空撮で対応された

通常は、地震保険の請求をした住宅を1軒1軒調査をし、保険金の支払いの可否を決定するのですが、東日本大震災のときは、被害範囲が広い地域に限っては飛行機による空撮をもとにその損害状況を確認していました。

そして、被害状況のひどい地域は一括して「全損」と決定がされました。

東北地方は「すべて全損」とされた

東日本大震災の被害は、東北地方だけでなく、関東地方などにも及びました。

しかし、やはり東北地方の被害が著しく、そのため地震保険の支払い対象となる住宅がたくさんありました。

そして、その住宅のほとんどは津波によって流失したり埋没したりしたものばかりでした。

そのため、被害状況を確認しようにも家がなくなっていたり、どこにもとの家があったのかわからなくなっている地域が多くありました。

そこで、国は緊急措置として「東北地方はすべて全損」扱いとすることを決めました。

これほどの措置が取られたことは、過去にもあまり例がないことでした。

それ以外は通常の保険金申請手続き

もちろん東日本大震災の被害は関東でも見られました。

家屋の倒壊や津波による被害もありましたが、そのときの決定では、東北地方の「緊急的な措置」以外は通常の手続きの流れが取られました。

これは、地震保険の契約者に選ぶことはできず、県境の道路1本隔てただけで申請手続きの方法が変わるということで、一部で議論もされることになりましたが、それでも被害の多かった東北地方では非常に多くに人たちが迅速に保険金請求をすることができるようになりました。

まとめ

このように、東日本大震災のときの保険会社の対応をもとに考えたとき、南海トラフ地震が発生したときも、同じように保険会社が緊急的な対応をすることが予想されます。

ただ、地震保険を利用するためには当たり前のことですが、地震保険に加入していることが大前提です。

地震の被害が予想される地域に住んでいる方は、いち早く地震保険を検討しておきましょう。