私は保険の代理店時代に、マンション投資をする投資家に向けて、火災保険の長期一括払い(以後「長期火災」)の販売を数多く取り扱っていました。
※この場合のマンション投資は、ワンルームなどではなく「マンション一棟」です。
2015年10月、火災保険の長期契約が最長で10年までと変更になり、最長35年まで可能だった長期火災の一時払い契約の大きなメリットである高額な報酬は見込めなくなりました。
それでも10年一時払いは契約が今のところ可能ですので、35年契約までとはいきませんが、10年一時払いの長期火災でも比較的ボリュームのある報酬が望めます。
そこで、長期火災を数多く取り扱った経験のある私が、メリット・デメリットについて紹介しますので、これから長期火災を取り扱うかどうか検討している方は参考にしてみてください。
長期火災を販売するメリット
長期火災を販売するメリットは主に3つです。
高額な報酬と楽な手続きです。
高額な報酬
長期火災は契約者がマンションを購入する際に利用する住宅ローンと同じ期間で設定します。
保険料は保険期間や建物の構造・広さなどによりますが、大きなもので保険料は数百万円になります。
この保険料を一括で支払いますので(一時払い)、報酬も高額なものになります。
※金額は仮定
更新がないので手続きが楽
長期火災は最長10年であれば、最初の契約時の手続きが完了すれば、その後はほとんど手続きをする必要がありません(住所変更などはある)。
1年更新の自動車保険のように、毎年手続きをするようなわずらわしさはありません。
投資に興味のある顧客に貯蓄目的の商品を紹介できる
マンション投資をする顧客は、「損をしない」「お金が貯まる」「お金が殖える」「節税になる」という言葉に惹かれる傾向にあります。
火災保険を販売して終わりではなく、顧客の興味のある商品を合わせて紹介したり、追加の契約をもらうことも可能です。
長期火災を販売するデメリット
長期火災には大きなデメリットがあることを覚えておきましょう。
それが「戻入金(れいにゅうきん)」です。
早期解約による戻入金の発生
マンション投資をする顧客は、購入したマンションに利益が出ない・魅力がないと判断したらすぐに売却してしまいます。
マンションを売却してしまうと、それに付属している火災保険も解約となります。
10年契約の火災保険を1年経過後に解約となった場合、受け取った報酬の中から残期間(9年分)の戻入金を返金する必要があります。
先ほど例に挙げた、保険料300万円、報酬75万円の場合、1年経過後の戻入金の目安は67万5千円となります。
戻入金は断ることができませんので、大金が入ってきたといっても保険期間内は安心できないということです。
退職後も戻入金が発生する
戻入金は自分が退職をしても、支払いを免れることはできません。
ただし、これは代理店勤務の営業マン(委託契約などの形態)の場合であって、保険会社に属している営業マンは退職をすれば支払うことはなくなります。
事故対応が頻繁にある
マンションは事故対応が頻繁にあります。
ただ、火災保険といっても、よくある事故として挙げられるのは以下のものです。
・排水管の故障、それに付随する水漏れ
・台風などの大風による建物や付属物の破損
・地震による被害 など