「いつ保険の話をふられてもいいように何部もの設計書(提案書)をカバンに準備している!」
「生年月日を聞いたらすぐに見積もりを取って渡している!」
これを聞いて、やる気のある営業マン、頑張っている営業マンというイメージが感じられるとしたらちょっと待ってください。
このまま頑張り続けても、あなたは保険の営業マンとして成功しないでしょう。
もし今あなたがこのように頑張っていて、それでもなかなか保険の契約がとれないのであれば、それは設計書(提案書)の作り過ぎが原因かもしれません。
その理由を、保険業界歴22年の現役FPの私が解説したいと思います。
設計書(提案書)を作ることよりも大切なのは相手のニーズを満たすこと
保険の契約をもらうためには設計書を作って提案する必要があります。
しかし、その提案のタイミングを間違えていることに気付かず、契約に至らないと悩んでいる営業マンが多いことに驚きます。
大切なのは、相手のニーズを満たすことです。
相手のニーズを満たすことができれば保険の話をこちらからしなくても相手から話をふってくれる
あなたは自分のいいたいこと(保険の話)ばかりを優先させていませんか?
せっかくのアポイントだから、少しでも多くの保険の情報を届けたいと思っていませんか?
もちろんこれも間違いではありませんが、そのとき相手は何を考えて、どうしたいと思っているのかを考えなければ、いくらあなたが保険の有力情報を提供しようとしても相手は聞く体勢になっていないかもしれません。
相手が聞く体勢になっていなければ、あなたの言葉が相手の心に響かずに契約に結び付くことはないでしょう。
- 本当は新しい提案よりも、保障内容の変更がしたい
- 本当は新しい提案よりも、家族の保険の相談がしたい
- 本当は新しい提案よりも、仕事の悩みを相談したい
- 本当は新しい提案よりも、体の悩みを相談したい
相手が本当に望んでいることを(ニーズ)満たしてあげれば、相手はお返しをしようという心境になりやすく、自分から保険の話をしなくても「今日はどんな保険の話があるの?」と、ウェルカムな状態で保険の話をふってくれるでしょう。
「返報性の法則」を使って相手の話を聞くことが契約への一番の近道
心理学用語で「返報性の法則」というものがあり、人は誰かに何かをされたとき自分も何かお返しをしなければと思う心理をいいます。
返報性の法則は保険の営業でも当てはまります。
相手の話を先に聞き、そのニーズに応えることで、「じゃあ今度は話を聞いてあげよう」という心理状態になりやすいのです。
もちろん、この返報性の法則を意識しすぎて相手に見返りを求めるような気持ちが強くなっては、その意識はすぐに相手に伝わってしまい不信感を持たれてしまうでしょう。
心の底から「この人の役に立ちたい」という気持ちで相手の話を聞くことが契約への一番の近道です。
これができれば、契約だけでなく契約につながる濃い紹介ももらえるようになるでしょう。
ほとんどの営業マンができていないからこそ勝機がある
返報性の法則は営業マンなら誰でも知っているスキルですが、実はこれができていない営業マンがたくさんいます。
「可能性のある設計書は全部持って行け!」という上司がいるくらいですから、契約が取れない営業マンが増えるのも当たり前かもしれません。
設計書(提案書)を持って行けばいくほど相手から警戒される
可能性のある設計書は全部持って行けという上司のいうことを正直に聞いて失敗する営業マンが本当にたくさんいます。
しかし、実際に営業現場へ行くと、たくさん持った設計書をいつ相手に提案したら良いのかわからず、そのタイミングを伺うことに意識が行き過ぎて、相手の話をまったく聞かずに「ちゃんと話を聞いてるのか」と怒られてしまう営業マンもいます。
契約が欲しいからと設計書を持って行けばいくほど、自分に余裕がなくなり、その態度を見て相手が警戒するという負のスパイラルに巻き込まれてしまいます。
できる営業マンほど、最後の最後で、相手から欲しいと思われた最高の状態で設計書をバッグから取り出します。
最初は不安でも続けることで他の営業マンと差別化ができる
返報性の法則を使って営業をするとわかると思いますが、この方法ではすぐに契約に結び付くという即効性はありません。
いわゆる「種まき」にかかる時間が必要で、その時間は人によって数日の場合もあれば数年におよぶこともあります。
この時間はあなたを不安にさせるかもしれませんが、これを続けることができなければ他の営業マンとの差別化を図ることはできません。
逆をいえば、これができたら相手から「この営業マンは一味違う」と認められ、一度契約が出ると追加でどんどん契約がもらえたり、濃い紹介がたくさん出たりと、嬉しいサイクルが回り始めます。
長くこの仕事を続けたいのであれば、最初は不安でも焦らずに続けることが必要です。
まとめ
保険の契約をたくさんとるには設計書をたくさん持って行く必要があるというのが間違いです。
相手が望んでいることに先に応えること、返報性の法則を意識して、相手に尽くすことを徹底することを続けていけば、自然と契約や紹介がもらえるようになります。
最初は契約がもらえずに不安に思うかもしれませんが、そこは焦らず、上司に急かされても自分の意思を崩さずに続けることが大切なポイントです。