自転車保険は加入しないといけないの?不要なケースと必要なケースを紹介します。

自転車 損害保険の選び方

毎日、自転車に乗る人は「あ!危ない!」と思ったことが一度や二度はあるのではないでしょうか。

ただ、もし自分が被害者でなく加害者になってしまった場合、その影響は想像を絶するものとなります。

あなたがもし事故の加害者になったとき、この賠償金を支払うことはできますか?

賠償額 事故の概要
9,266万円 男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。(東京地方裁判所、平成20年6月5日判決)
3,730万円 Y運転の自転車が信号機による交通整理の行われていない三叉路の交差点を左折した際、対向進行してきたA(70歳、男性、年金生活者)運転の自転車と衝突した。YとAは転倒し、Aは脳挫傷、脳内出血、急性硬膜下血腫の傷害を負った。病院で緊急手術をしたものの植物状態に陥り、事故の1年4ヶ月後に入院したまま慢性気管支炎を発症したことにより肺炎を併発し死亡した(平成14年6月11日大阪地裁判決)
3,140万円 男子高校生が自転車で歩道から交差点に無理に進入。保険勧誘員の女性(60才)が運転する自転車と衝突して転倒させた。女性は頭蓋骨骨折で病院に搬送されたが九日後に死亡しました。(平成14年2月15日さいたま地裁判決)

このような事故をきっかけに、2015年10月に日本で初めて兵庫県で自転車保険の義務化がスタートしました。

自転車保険は、このように高額な賠償金の支払いリスクを補償する損害保険のひとつです。

ただ、だからといって、いわれるがままに自転車保険に加入すると損をする可能性があります。

なぜ自転車保険は損をするのか、一緒に見ていきましょう。

基本的に自転車保険は必要ない

補償内容に無駄が多いから

自転車保険に加入する大きな目的は、

自転車に乗っていて他人をケガさせたり死亡させてしまったときの賠償

これが一番の目的です。

ですから、賠償責任保険の補償があれば足りるのですが、一般的に販売されている自転車保険には、それ以外の無駄な補償(入院・手術・死亡など)がたくさんついています。

例として、こちらの自転車保険の補償内容を参考にご覧ください。

三井住友海上損害保険「ネットde保険@サイクル

一番安いプランで年間3,990円(月332円)と一見安く感じますが、そもそも賠償責任補償だけならもっと安く加入することができます。

当たり前のことですが、必要な補償以外もついていると、無駄な保険料を支払うことになります。

賠償責任保険に加入している場合は必要ないから

必要なのは賠償責任保険の補償ですから、これさえあれば問題ありません。

そして、この賠償責任保険は自動車保険や火災保険などの損害保険にも「個人賠償責任補償特約」などの名前で補償内容に組み込まれている場合があります。

こちらをご覧ください。

このように、自動車保険や火災保険に加入していて、個人賠償責任補償特約をすでに補償内容に組み入れている場合は、新たに自転車保険に加入する必要がありません。

家族の誰かが賠償責任補償に加入している場合も必要ない

個人賠償責任補償特約には、自分が加入していなくても補償の対象となる場合があります。

以下はその内容で、これは各社共通のことです。

被保険者(補償を受けられる方)の範囲
(1)被保険者ご本人
(2)(1)の配偶者
(3)(1)または(2)の同居の親族
(4)(1)または(2)の別居の未婚の子
(5)(1)が未成年者または責任無能力者である場合は、(1)の親権者およびその他の法定の監督義務者等
(6)(2)から(4)のいずれかの方が責任無能力者である場合は、責任無能力者の親権者およびその他の法定の監督義務者等

簡単にいえば、自分が加入していなくても家族の誰かが加入していれば、一緒に住んでいる家族もしくは別居している未婚の子も補償の対象となるということです。

自治体が加入を義務化していても加入する必要がないケース

2018年現在、自転車保険への加入を義務化している自治体は次の通りです。

相模原市:2018/7/1施行
金沢市:2018/4/1施行
埼玉県:2018/4/1施行
京都府:2018/4/1施行
名古屋市:2017/10/1施行
福岡県(努力義務):2017/4/1施行
千葉県(努力義務):2017/4/1施行
鹿児島県:2017/3/24施行
東京都(努力義務):2017/2/1施行
静岡市(努力義務):2017/1/1施行
鳥取県(努力義務):2016/10/14施行
大阪府:2016/7/1施行
徳島県(努力義務):2016/4/1施行
滋賀県:2016/2/26施行
兵庫県:2015/10/1施行
熊本県(努力義務):2015/4/1施行
群馬県(努力義務):2014/12/22施行
愛媛県(努力義務):2013/7/1施行

しかし、上でもお伝えした通り、自動車保険や火災保険に特約で個人賠償責任補償特約が付いている場合には、自転車保険への加入はしなくてもよいことになっています。

このことについては、埼玉県のようにホームページで情報を公開しているところもありますので、お住まいの自治体のホームページを確認しておくと良いでしょう。

自転車保険が必要なケースとは?

自動車保険や火災保険に加入していない場合

自動車保険や火災保険に加入していない場合、個人賠償責任補償特約には加入していない可能性があります。

これは同じように傷害保険にも当てはまります。

これらの保険に加入していない場合には、個人賠償責任補償特約で補償の対象となっていない可能性がありますので、必要であれば自転車保険に加入しましょう。

共済などに加入していない場合

自動車保険や火災保険、傷害保険と同じように特約でつけられるものに共済があります。

県民共済などがこれにあたりますが、個人賠償責任補償特約をつけることができます。

詳しくはこちらのホームページを参考にして、あなたや家族がもし共済に加入しているとしたら、補償の対象となっている可能性がありますので確認しておきましょう。

そして、補償の対象でない場合には、自転車保険への加入を検討しましょう。

神奈川県民共済「個人賠償責任補償保険

自転車保険の選び方

自転車保険に加入するときは、主に次の3つのポイントを確認すると良いでしょう。

補償内容にダブりはないか?

この補償内容とは、入院や手術、死亡に関する保障についてです。

ちなみに、業界では生保の場合に「保障」、損保で「補償」という風に使い分けます。

自転車保険の補償内容の中身には、

・賠償責任保険
・入院給付金(医療保険と保障がかぶる)
・手術給付金(医療保険と保障がかぶる)
・通院給付金(医療保険と保障がかぶる)
・死亡保険金(死亡保険と保障がかぶる)

などがありますが、賠償責任保険以外は「かぶる」保障があります。

あなたは現在、医療保険や死亡保険などなんらかの生命保険に加入していませんか?

保険会社は、賠償責任保険単体での販売をしていません(昔はありました)。

なぜなら、単体で販売しても保険料が安い割にコストがかかり、保険会社にとって割に合わないからです。

ですから、賠償責任保険にいろいろな保障をくっつけて「自転車保険」という売りやすい商品を作ったのです。

この事実を知らずに、自転車保険に加入しようとすると、実は補償されていたにも関わらず無駄なものにお金を支払い続けることになります。

補償範囲はどこまでにする?

自転車保険のプランには、本人型、夫婦型、家族型などがあります。

夫婦型で加入すれば、単体2人分より安く加入でき、家族型であればさらにお得に加入できます。

しかし、自転車保険の目的である賠償責任保険の部分については、家族が誰か加入していればあなたも対象となっている可能性があります。

逆に、あなたが加入することで、家族全員分(「家族」の定義は上の項目で解説しています)の賠償責任補償を担保することができるので、家族型に加入する必要もなくなります。

加入する前に、必ず家族の加入状況を確認しておきましょう。

携帯電話会社の料金と一緒に引き落とすことも可能

通常、自転車保険は口座振替やクレジットカードでの引き落としで保険料を支払いますが、携帯電話会社で販売している自転車保険なら、携帯電話料金と一緒に支払うことも可能です。

支払い窓口を1つにまとめたい人などにおすすめです。

・ドコモドコモサイクル保険
・auBycle:バイクル
・ソフトバンク自転車あんしん保険

まとめ

自転車保険はネットから簡単に加入できて保険料も比較的安い部類に入ります。

しかし、自転車に乗るすべての人に必要性があるかといえばそうではありません。

加入している保険と保障がかぶったり、家族内で補償されていたりすることも少なないので、必ず加入前に確認しておきましょう。