液状化現象による建物被害は火災保険ではなく地震保険の補償対象である理由

液状化現象 損害保険の選び方

東日本大震災や北海道胆振東部地震で大きな被害を出したひとつに液状化現象がありますが、これによる被害は火災保険の補償対象外となり、地震保険の補償の対象です。

火災保険と地震保険の補償内容の違いと、なぜ火災保険ではなく地震保険の対象なのか、その理由について解説します。

液状化現象での被害は火災保険では補償されない

液状化現象で起こる建物の被害とは

大地震による液状化現象は、一見それが起こりそうもない都市部で起こることも多く、土地が地下水で満たされている場合によく起こります。

下のイラストは、東京都が運営する液状化現象対策のポータルサイトによるものです。

液状化現象

このポータルサイトの中で、特に被害が出やすいのが木造住宅であると紹介しています。

その理由は、

・建物としての重量が軽く浮きやすい
・基礎が浅い
家が傾く、亀裂が入る

などがあります。

家の傾きは小さくても平衡感覚が失われ、頭痛や目まい、吐き気などを引き起こす原因にもなり、住み続けることは難しくなります。

また、窓やドアの立て付けも悪くなり、雨風が吹き込んだリ、防犯上の問題なども出てくるので、早急に修復(もしくは取り壊し)しなければいけません。

火災保険の補償内容は対象外

火災保険の一般的な補償内容を見てみましょう。

・火災
・落雷
・破裂、爆発
・風災、ひょう災、雪災
・水災
・物体の飛来、落下、衝突
・水漏れ
・騒じょう等による暴行・破壊
・盗難

液状化現象による地盤沈下や傾きなどは、これを見る限りでも火災保険の補償の対象外であることがわかります。

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液状化現象での被害は地震保険が補償の対象

地盤沈下による家の傾きや沈下は地震保険が対象

では、実際に地震による液状化現象が起こったとき、家の傾きや沈下がどの程度起これば補償の対象となるのでしょうか。

以下は、それを表した表です。

建物 認定区分 被害の状況 支払保険金
傾斜 沈下
一部損 0.2°を超え、
0.5°以下の場合
10cmを超え、
15cm以下の場合
建物の地震保険金額の5%
(ただし、時価の5%が限度)
半損 0.5°を超え、
1°以下の場合
15cmを超え、
30cm以下の場合
建物の地震保険金額の50%
(ただし、時価の50%が限度)
全損 1°を
超える場合
30cmを
超える場合
建物の地震保険金額の全額
(ただし、時価が限度)

東日本大震災大震災で実際に地震保険の保険金申請を数多く受けた経験のある私の印象ですが、液状化現象による地盤沈下や家の傾きを見ると、そのほとんどが「全損」扱いでした。

そして、被害が広範囲にわたっている地域では、上空からの目視での確認で、その地域一体を全損扱いすることも少なくありませんでした。

液状化現象で自動車が泥に埋まってしまったら自動車保険でも補償対象外

液状化現象では、自動車も泥にはまって動かなくなっている映像を見ます。

エンジン内に水や泥が入り込んで動かなくなったり、故障した場合には地震保険ではなく自動車保険の対象となるのでしょうか?

車両の故障ですので、自動車保険の中の車両保険が対象となりそうですが、地震が原因の場合は補償の対象外となります。

これはどの損害保険会社でも共通の認識で、以下の通り「免責事項」として約款やパンフレットなどに記載してあります。

地震・噴火・津波によって生じた損害は補償の対象外
※ただし、火災・爆発、台風、洪水、高潮等は対象とする

保険会社によっては、地震が原因の損害を補償する特約もありますので、希望される場合は各保険会社に問い合わせてみましょう。

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まとめ

大きな地震が起こったときに発生する液状化現象による建物の被害には、地盤沈下による建物の沈下、傾きがあります。

これらの損害を補償するのは火災保険ではなく地震保険です。

特に、昔は海だった場所を埋め立てたり、水田だったり沼だったところを埋め立てたりした土地では、地震により液状化現象が起こりやすいので、住んでいる地域のハザードマップなどを確認しておくと良いでしょう。

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