生命保険は基本的に健康な方でなければ加入することはできません。
これは、保険会社が健全な運営をしていくうえで大切なことですから当然のことです。
しかし最近では、病気やケガの治療中や経験がある方でも加入できる保険が発売されはじめてきました。
では、がんになった人でも加入できる保険はあるのでしょうか?
がんの経験がある方は、それ以外の病気やケガ以上に保険加入のためのハードルがぐっと上がりますが、このページではそんな方でも加入できる保険を現役FPの私が3つ紹介したいと思います。
がん経験者でも加入できる3つのタイプの保険
まず原則として、一度がんと診断されると、通常のがん保険や三大疾病(特定疾病)保障保険に加入することはできません。
ただし、医療保険や終身保険などの死亡保険は、最後の治療から一定期間が過ぎているなど一定の条件を満たせば加入できる商品もあります。
そこで、このページではがん経験者でも加入できる3つのタイプの保険を紹介したいと思います。
無選択型医療保険
無選択型医療保険は無告知型医療保険ともいわれ、簡単にいえば「誰でも入れます」という商品です。
この保険への加入は医師の診査や健康告知も必要なく、年齢制限などの条件を満たせばがん治療中でも加入することができます。
ただし、無条件で加入できるために保険料は割高で、疾病については保険加入後90日間は保障対象外となったり、既往症や現在治療中のものも保障されなかったりしますので注意が必要です。
ですから、がんの再発や転移の備えとしては向いていませんが、無保険の若い方でがんに罹患した経験のある方が「がん以外の病気やケガの保障がほしい」という場合に向いているかもしれません。
引受基準緩和型医療保険
引受基準緩和型医療保険は限定告知型医療保険ともいわれ、契約手続きのときの告知内容を3~5つに絞った加入条件が緩和されている商品です。
がんの場合は、
- 過去5年以内に悪性新生物・上皮内新生物等で入院・手術
- 悪性新生物・上皮内新生物等で審査・検査・治療・投薬中
などに該当しなければ加入できます。
ただし、契約から1年以内に再発や転移があった場合、受け取れる保険金は1/2になり、もちろん保険料も割高です。
最大の特徴は、すでに罹患している病気の悪化もカバーできるという点です。
ベースは医療保険なので入院保障がメインですが、三大(特定)疾病の給付金や手術給付金、先進医療特約を付加することができる商品もありますので、がんの経験がある方にはぜひ検討してほしい商品です。
がん経験者向けのがん保険
がん経験者向けに開発されたがん保険で、がんの再発や転移に備えることができます。
ただし、手術日から一定の期間が経過している、再発や転移がないなど一定の条件を満たしている必要があります。
保険に頼らずに預貯金で備えることも考えておくことも大切
「保険に頼らずに預貯金で備える」
これは、がん経験者じゃなくてもしっかりと考えなくてはいけない大切なことですが、がん経験者は特に、がんでお金がかかることを実感しているだけに、今後の備えとして保険に加入したいという気持ちが強く、保険加入への関心も高い傾向があります。
保険料が割高な保険よりも預貯金のほうが効果的な場合も
無理に割高な保険に加入しなくても、再発や転移が心配であれば、生活習慣の見直しなど日々の健康管理やがん予防に目を向けて、預貯金等でかかる可能性のある治療費を貯めることをしたほうが合理的な場合もあります。
毎月1万円の保険料を10年支払うのであれば、120万円を貯めることができますので、保険料と保障のバランスをよく検討することが大切になります。
がん経験者でも通常の医療保険に加入できる場合もある
がん経験者や持病を持つ人でも、通常の医療保険などにそのまま、もしくは条件付きで加入できる場合もあります。
先ほどお伝えした引受基準緩和(限定告知)型医療保険は、告知書を見れば加入条件が確認できるため、加入できるかどうかの判断が自分でもしやすいので診査を受けてみないと加入できるかどうかわからない通常の医療保険と比べて検討しやすいというメリットもあります。
また、保険商品の改定や新商品のtぽう上などで、以前は加入できなかった条件の方でも加入可能になったり、保険料が安く加入しやすくなるケースもありますので、しっかりと検討することをおすすめします。
まとめ
がん経験者には、なかなか簡単に加入できる保険がありません。
しかし、無選択型医療保険や引受基準緩和型医療保険など、誰でも加入できたり、加入条件が緩和されているものなどがありますので、保険料が割高でも保障とのバランスが取れるのであれば加入を検討しても良いでしょう。
また、保険の備えだけでなく預貯金等で将来かかるかもしれない治療費を貯めることも並行して行うようにすると、さらに効果的にお金を貯めることができます。
いずれにせよ、安易に自己判断しないで、まずは保険会社の担当などに確認や相談をしてみたり、保険のプロであるFPに相談してみることをおすすめします。